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心とからだのセラピースペース


by まりりん

『幸せになる勇気』

『幸せになる勇気』

   岸見一郎
   古賀史健  著    ダイヤモンド社   1500円+税


お二人のベストセラー『嫌われる勇気』の続編です。


前著でアドラー心理学と自分の未来に希望を託して
意気揚々と哲人の書斎を辞した青年が、

3年後、教育者として、
アドラー心理学なんて机上の空論だー!と
議論をふっかけにやってきます。


私はこの本を読んで初めて知ったことがあります。

アドラーが第1次世界大戦で
軍医として従軍していたことは知っていましたが、

その期間、大変な苦悩の中にいた
ということは知りませんでした。


その時のアドラーの仕事は、
戦闘で精神に異常をきたした兵士の治療です。

治療効果が上がれば、
患者は再び戦場に送り返されるのです。


大変な苦悩の中でアドラーは

どうしたらこの世界から戦争をなくすことができるか

を考えました。


そしてアドラーが注目したのが教育です。


教育の目的は自立

そして 自立とは自己中心性からの脱却

それに必要なのは

そして目標は共同体感覚




アドラーはこんなふうに提案しています。まずは、

「もしも私がこの人と同じ種類の心と人生を持っていたら?」

と考える。そうすれば、

「きっと自分も、この人と同じような課題に直面するだろう」

と理解できるはずだ。さらにそこから、

「きっと自分も、この人と同じようなやり方で対応するだろう」

と想像することができるはずだ、と。




アドラーは主張します。
教師と生徒の関係は 交友 だと。
そこのボタンを掛け違えたままでは、教育がうまくいくはずなどないと。

相互尊敬
相互信頼


「臆病は伝染する。そして勇気も伝染する」
当然「尊敬」もまた、伝染していくでしょう。


「与えよ、さらば与えられん」

ひたすら信じ、ひたすら与える利他的な態度によって、
交友の関係は生まれます。


ほんとうの愛を知ったとき、「わたし」だった人生の主語は、
「わたしたち」に変わります。

我々は他者を愛することによってのみ、自己中心性から解放されます。
他者を愛することによってのみ、自立を成しえます。

そして他者を愛することによってのみ、
共同体感覚にたどり着くのです。



「愛し、自立し、人生を選べ」


本当に試されるのは、歩み続けることの勇気なのです。



アドラーにとっての教育は、
学力を向上させるとか、問題児を矯正するとか、
そんな次元の話ではありません。

人類を前進させ、未来を変えること。
これこそが彼にとっての教育だったのです。



アドラー心理学は<心理学>以上のもの。
この本のテーマは教育のように見えますが、
それ以上のもの。
とも言えそうです。

おっきなテーマに、わくわくします。

もう一度読もうかな。






余談ですが、
彼は「神」を全く出さずに・・・

やっぱり『奇跡のコース』と共通の主張を、
いくつも見つけてしまいます。

「コース」は「この世界を変えようと思うのはやめなさい」
と言っているという、大きな違いがありますけどね。
by d_rainbow | 2016-08-01 12:00 |